麻原裁判 控訴審弁護人
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異議申立補充書(3)

平成18年4月14日
                           
東京高等裁判所刑事部 御中


 本補充書(3)は、平成17年8月31日における打合せ協議の模様を弁護人が録音しており、その際の裁判長の発言を示して主張するものである。


1 須田裁判長の発言
  上記協議において終了間際になされた須田裁判長の発言は次のようなものであ った(同日録音反訳19頁以下、裁判長の発言は20頁)。
   ・
   ・
 松下
 今、現にやろうとなさっている鑑定ですよ。それはそれできちんとやるべきだと思うんですよ。

裁判長
 いやそれはきちんとやりますよ。

松下
 いやだからそれが不安なんですよ。それ自体が非常に疑問なわけですよ。それ自体が。非常に疑問なんです。だから不安なんです。だからさっき言った―――

裁判長
 ですので―――

松下
 まあ裁判長の言葉尻をね、私の言葉尻をとらえないでいう言い方、こと自体がですね、それでもう不信感を抱いてますよ、私は。だからこそしっかりやって欲しいっていう趣旨なんですよ。

裁判長
 ええ、それはしっかりやりますよ。しっかりやりますので。それはご安心ください。で、もし出されてない状態でのときに、であれば、それはこの前言ったように、言わばアレですよね、控訴決定棄却、鑑定…(聞き取れず)…のために決定棄却しない、その結果、その間に弁護人が、決定棄却されない間に出した、出した。そうすれば、まあ原則的にこれはもう、やむを得ない、こういうこう種(?)事件ですから、我々は、なかなか棄却、決定棄却、やむを得ない事情がないなどと言って、決定棄却はできないだろうということで、成立扱いにする、になってくるだろうと、そういうふうな状況になってくるわけですよね。その段階で、ここまで認めますよと、アレですよというようなことは、これはちょっと、裁判所としては言うことができないんじゃないかと思うんですけどね。それ言うのは裁判所として本当に、裁判所として不見識な話になってくるということになると思うんですけれども。ただ、皆さん方のお話は、お二人のお話―――

松井
 いや、意見―――

裁判長
 今後のご予定、ご希望はよくわかりましたので。まあそれはそれとして、いずれにしても、もう作成されてこられてるようですので、出していただきたいと。

松井
 今の時点では出しません。

裁判長
 それは―――

松下
 私たちの趣旨をご理解していただいていないようなので、今は出しません。

裁判長
 それはおかしいんですよ、それは。
(※弁護人退席)
2 控訴趣意書提出直前に棄却するのは違法・違憲である
  上記のとおり、裁判長は「棄却決定前に控訴趣意書が提出されれば、やむを得ない事情があるとして控訴成立とする。」旨明言していた。
  そして、弁護人が本年3月21日及び22日、裁判所に対して「同月28日に控訴趣意書を提出する」と伝え、裁判所は提出する事実を了解した。
  ところがその前日の27日、突然控訴棄却決定を下した。
  確かに、上記31日の裁判長の発言によっても、棄却決定前に控訴趣意書が提出されていない以上、棄却が可能と言えなくもない。
  しかし、弁護人は裁判所に対して控訴趣意書を提出することを明言し、かつ報道機関などにも公表し、28日に提出されるべきことは確実であった。裁判所が、控訴趣意書提出が確実であることを認識しつつ、上記裁判長の発言を根拠として提出されていないから棄却するのだというのであれば、あまりにも作為的で騙し討ちとしか言えない。上記発言の中にある「この種の重要事件では慎重にやらなければならない」との趣旨にも反することは明らかである。
  よって、原審が弁護人が控訴趣意書提出を表明しているにもかかわらず控訴棄却としたのは、適正手続(憲法第31条)、公平な裁判所の公平であるべき裁判(同37条1項)、公平な裁判を受ける権利(同32条)を侵害し、「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」刑事訴訟法の根本理念に反する。
3 その後の裁判所の態度は不当である
  裁判所は同年9月2日になって、「控訴趣意書を持って来ながら提出しなかった」ことをもって棄却の可能性が高まった旨表明した。本件棄却決定もその点を根拠としている。
  しかし、31日の協議において弁護人は極めて不完全な骨子を持参したのであったが、その時の協議においても裁判所は、「棄却決定前に控訴趣意書が提出されれば、やむを得ない事情があるとして控訴成立とする。」としていたのであって、「持参したのに提出しない以上やむを得ない事情があるとは認められない」などとは一言も言っていない。
  従来、打合せ協議の場を進行の基本方針表明と決定の場にしてきたにもかかわらず、協議の場で発言したことを一方的に反故にして、協議の場では全く発言していなかったことを突如として表明したのであった。このようなことが許されてはならない。
  以上のとおりであるから、原審が弁護人の控訴趣意書提出日を認識しつつその前日に棄却決定としたのは、憲法及び刑事訴訟法に違反することは明らかであり、本件棄却決定は取り消されるべきである。

   以 上


添 付 資 料

1 平成17年8月19日における打合せ協議の模様を録音した機器の反訳文
2 同録音CD−ROM(コピー)
3 平成17年8月31日における打合せ協議の模様を録音した機器の反訳文
4 同録音CD−ROM(コピー)