麻原裁判 控訴審弁護人
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異議申立補充書

平成18年4月3日

東京高等裁判所刑事部 御中


 御庁係属中の頭書事件について、本年3月30日付異議申立を下記のとおり補充する。本補充書は、控訴趣意書提出の最終期日の指定がないにもかかわらず控訴を棄却したのは違法である旨補充するものである。

 
1 控訴趣意書提出期限取消の方式
  控訴裁判所は、「控訴趣意書を差し出すべき最終日(以下、「提出期限」と称する)を指定してこれを控訴申立人に通知しなければならない。」とされ(刑事訴訟規則236条1項)、同提出期限は「通知書を送達して」行うべきものとされている(同2項)。
  一方、提出期限の取消の方式については何ら規定がない。
  したがって、従前決められていた提出期限の取消については、格別の方式はなく、裁判所の取消の意思が対外的に明らかであれば足りると解される。そうであれば、提出期限の取消が看取できて、かつ、新たな指定及びその通知書の送達がない以上、従前の期限が取り消されると同時に、新たな指定があるとは認められず、提出期限の指定がない状態にあると解される。
2 最終期日指定は取り消された
  原裁判所は昨平成17年8月19日の段階で、「鑑定を行う。31日の期限までに控訴趣意書を提出しなくとも控訴は棄却しない。鑑定結果が出るまでに控訴趣意書が提出されれば『やむを得ない事情に基づく』遅延として控訴成立とする。」とした。
  控訴趣意書提出期限が経過している中で、裁判所による鑑定が進行するという事態は考え難い。裁判所自らが鑑定を行ない、その鑑定手続が従前の控訴趣意書提出期限までに完了しないことが明らかな場合には、従前の期限はいったん取り消されたと解するべきである。現に、この8月31日という期限が経過してから7ヶ月近く経過してもなお鑑定は完了しなかったのであるから、その間7ヵ月以上にもわたる長期間鑑定が行われている中で、同最終期日の指定が維持されていたとは到底考え難い。
3 指定期日取消は裁判所による鑑定のためである
  もともと、期限までに提出がない場合であっても棄却しないという訴訟進行を明らかにしたのは原裁判所である。裁判所は「鑑定の形式により医師の意見を徴する」ために棄却しないとしたのであって、裁判所側の鑑定作業という都合のために棄却しないことにしたものにほかならない。
  弁護人は従来より、被告人と意思疎通できないために作成できない、提出できないと主張してきたのであって、8月19日になって初めて主張したわけではない。期限に提出しなくとも棄却しないという措置を、原裁判所はあたかも弁護人側の都合を考慮してやったが故の措置であるかのように言うが、実際には裁判所自身が鑑定を行うための措置である。
  このようにして原裁判所は、「期限までに提出されなくとも棄却しない。鑑定結果が出るまでに趣意書が提出されれば控訴成立とみなす。」との判断を、8月19日の段階で明らかにし、その旨弁護人に打合せ協議の場で伝え、かつ書面で通知し、打ち合わせ協議メモにも記載している。
  そして、この19日の段階で、鑑定が同月31日までに完了しないことは明らかとなっていたから、裁判所は鑑定のために8月31日という控訴趣意書提出最終期日の指定を取り消したと見るのがもっとも自然である。
  その上で、新たな提出期限の書面による指定はないのであるから、控訴趣意書提出の最終期日は指定されていないと解するほかない。
4 提出勧告の意味
  では、9月2日になってから原裁判所が「直ちに提出することを強く求める」旨表明し、弁護人にもファックスで伝えた点には如何なる意味があるか。
  上記のとおり、期限取消後、新たな期限指定がない状況における、提出を促す旨の意思表示であるから、あくまでも弁護人の注意を喚起して早めの提出を促す以上の意味を持つものではない。一般的にも控訴趣意書の提出に関して裁判所書記官などから「早めの方が良いですよ」といった助言を受けることは珍しくないのであって、上記表明もまた同じようなものである。
5 まとめ
  以上のとおりであるから、本件は8月31日の控訴趣意書提出の最終期日が取り消され、その後新たな期日の指定がないにもかかわらず、原裁判所は控訴趣意書が提出されていないとして棄却決定をしたのであるから、同決定が違法であることは明らかである。

  以 上